Netflixドラマ『宇宙を駆けるよだか』感想レビュー

Netflixオリジナルドラマ『宇宙を駆けるよだか』を視聴しました。本作は、単なる「入れ替わりもの」ではなく、見た目と中身、人の価値観や社会の残酷さに深く切り込んだ作品でした。



原作について

本作の原作は、川端志季による同名漫画で、『別冊マーガレット』(集英社)にて2014年10月号から2015年12月号まで連載され、単行本全3巻としてまとめられました。漫画はそのシリアスなテーマと心理描写のリアルさで話題となり、2018年にNetflixで実写ドラマ化されました。


ルックスと中身——人の価値はどこで決まるのか?

この作品がユニークなのは、異性間の入れ替わりではなく、スクールカーストの正反対に位置する二人の女子が入れ替わる点です。容姿端麗で何もかも恵まれていた小日向あゆみと、見た目のせいで虐げられてきた海根然子。彼女たちの視点を通じて、「人は中身ではなく見た目で判断されがち」という厳しい現実を突きつけられます。

あゆみは、海根の姿になった途端に友人や家族からの態度が一変し、容姿でここまで人生が左右されるのかと絶望します。一方で、海根はあゆみの姿を手に入れたことで自信を持ち始めますが、内面は変わらないため、すべてがうまくいくわけではありません。

この設定が、単なる「見た目と中身のギャップ」ではなく、「人は見た目と性格の総合で評価される」という現実に落とし込まれているのが印象的でした。誰もが「見た目がいい人のほうが得をする」と分かっているけれど、それを公には認めたくない——そんな社会の矛盾が浮き彫りになっていました。


火賀俊平という希望

作中で一際輝いていたのが、火賀俊平の存在でした。明るく、裏表がなく、どんな状況でもあゆみ(海根)を信じ続けた彼の姿勢が、物語の救いでした。

見た目が変わっても本質的な部分を見抜こうとする彼の視点が、作品のメッセージをより強くしていました。現実ではなかなかこういう人物はいないかもしれませんが、だからこそ、彼の存在が視聴者にとっての希望となっていました。


女優陣の圧巻の演技力

本作を語る上で欠かせないのが、清原果耶さんと富田望生さんの演技力です。

特に富田望生さんは、入れ替わった直後の「あゆみとして振る舞う海根」を見事に演じていました。その表情、仕草、言葉遣いの違いが細かく表現されており、「本当に中身が入れ替わったのでは?」と思わせるほどの完成度でした。

また、清原果耶さんも、陰のある表情や怯えたような仕草で「海根としてのあゆみ」を演じ切っていました。見た目は同じでも、内面が異なるとここまで印象が変わるのかと驚かされました。


まとめ

『宇宙を駆けるよだか』は、単なる青春ドラマではなく、社会の価値観や人間の本質について考えさせられる作品でした。見た目に対する先入観がいかに強いか、そして環境によって人はどのように変わるのか。この作品を観ることで、改めて「人の本当の価値とは何か?」と問い直す機会になりました。

Netflixで配信中。

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